感染症、皮膚疾患、便秘、頭痛、発育の相談、夜尿など全般的に診察いたします。
以下に、お子さんがかかる事の多い代表的な病気と受診の目安についてお伝えします。

風邪症候群について

一般小児科外来

いわゆる「かぜ」です。原因の約90%がウイルスによるもので、残りの10%は溶連菌、マイコプラズマなどのウイルス以外の感染です。一般的には寒い冬にはインフルエンザ、RSウイルス、夏には溶連菌、アデノウイルス、エンテロウイルスなどが流行しますが、近年は流行時期に変化がみられています。症状としては、発熱、咳、鼻汁など呼吸器症状が主なもの、嘔吐、下痢などの消化器症状が主なものに、頭痛、関節痛、発疹などの症状が加わる場合もあります。インフルエンザ、ヘルペスなど一部を除いてウイルスに対する薬は特に無く、抗生剤も効果ありません。解熱剤や症状を軽くするお薬を使い、食事、睡眠を取りやすくすることで、体力を保ち、免疫を整えることが回復にはとても大切です。

風邪の症状と受診の目安

発熱

お子さんの風邪では夜に熱が出始めたり、2-3日ほど発熱が続いたりすることがよくあります。発熱自体はウイルスの増殖を防ぐなどの役目もありますが、熱以外の症状が無い時、40度以上の高熱の時、微熱が長く続く時などには一度受診をおすすめします。
特に意識がもうろうとしている(声をかけても反応が乏しい)時、ぐったりして水分がとれない時、初めてのけいれんを起こした時などにはすぐに受診してください。
3か月未満のお子さんが発熱(38度以上が目安)した時は、敗血症や髄膜炎などの重症感染症が含まれている場合があるので、解熱剤を使用せず、すぐに病院を受診してください。

咳は軽い場合もありますが、頻繁に出る時、咳き込みが目立つ時や、夜間、何度も起きるような 時には受診をおすすめします。
原因によっては、以下のように様々な咳がありますので早めにご相談ください。

  • 犬が吠えるような咳(オットセイの声のような咳)が出始めた(クループの咳)
  • 夜や朝方にゼイゼイというような呼吸がある(喘息の咳、喘鳴)
  • 顔色が悪く、胸やみぞおちがへこむような早い呼吸をしている(呼吸困難)

鼻水

風邪の時の鼻水はウイルスなどの異物を洗い流そうとする体の防御反応です。一般に風邪の初期には水っぽく透明な鼻水が出ますが、数日経って風邪が治りかけると黄色い鼻水が出ることもあります。これはウイルスと戦った免疫細胞や白血球が鼻水に含まれるためです。水っぽい鼻水が多く、咳き込みの原因になる時にはこまめに吸引をし、アレルギーが関与している可能性があればアレルギー性鼻炎の薬を使います。鼻水が粘っこく鼻づまりで眠れない時は、鼻水がサラサラになる薬を使って鼻水がたまらないようにします。
粘り気のある黄色い鼻水が続くときには中耳炎や副鼻腔炎の併発も考えられますので、抗生剤などでの治療も必要です。

嘔吐

一回のみ嘔吐し、その後はケロッとして元気であれば様子をみていただいてかまいません。
吐いた後はすぐには何も飲ませず、1~2時間様子をみて大丈夫そうなら水分を少しずつ(ティスプーン1杯ほどから)あげてください。すぐに増やさず、10分ほど間隔を空けて少しずつ増量しながら飲ませてください。水、お茶のみより、イオン飲料(OS-1やアクアライトなど)や塩分糖分を含んだスープ、酸味の少ないジュースなどが望ましいです。
嘔吐が続き水分が取れない時、腹痛が強い時は早めに受診してください。皮膚や唇が乾燥している、泣いても涙が出ない、尿の回数が極端に少ない、尿が濃いなどが脱水の症状です。特に小さいお子さんは脱水になりやすいので、嘔吐と下痢が両方ある時は注意しましょう。

皮膚疾患について

生まれて間もなく起こる乳児湿疹から始まり、乾燥肌、汗疹、とびひ、水イボなどお子さんの成長には肌トラブルがつきものです。かゆみも不機嫌や不眠の原因になりますのでご相談ください。

乳児湿疹

乳児期にできる湿疹をまとめて乳児湿疹と呼びます。
生後2週間頃からはホルモンの影響で皮脂の分泌が多く、特に頭皮、おでこ、頬、頚まわりなどに黄色いかさぶたのついた発疹ができ、脂漏性湿疹と呼ばれます。同じころ顔周りの毛穴に新生児ざそうと言われる、ニキビのような発疹もよく見られます。いずれもホルモンの影響が無くなる3 ~4ヶ月ごろには落ち着きます。
生後3か月以降にできる湿疹は乾燥が主な原因とされ、手足やよくこすれる部分できることの多い、かゆみを伴う湿疹です。赤ちゃんの肌は薄く刺激に弱いため、丁寧な入浴による「清潔」と肌の状態にあった ローションやクリームを使った「保湿」が大切です。軽い湿疹であればお家のスキンケアでも良くなりますが、ひどくなってしまった時には、軟膏の処方や、スキンケアのアドバイスをいたします。乳児湿疹の一部にアトピー性皮膚炎が混じるとはされていますが、生後6か月頃までは肌のトラブルは多く、見分けは難しいものです。かゆみが強い、症状が長く続くことなどがアトピー性皮膚炎の特徴とされていますので、一緒にお子さんの経過をみながら、その時々に適切な治療を行っていきます。

伝染性軟属腫(水いぼ)

伝染性軟属腫ウイルスが原因で、直接の接触や物を介してうつる感染症です。1個できると掻いたり、脱落したりして、そばの皮膚に移っていきます。わきの下や首回り、肘、膝の裏など皮膚がこすれやすい場所によく広がります。時期がくれば(6か月~2年ほど)自然治癒しますが、水イボの周りには湿疹ができやすく、アトピーや乾燥肌のお子さんは広範囲にひろがってしまうこともあります。当院では保湿をして広がらないようにし、ヨクイニンという漢方薬を内服することで早く治ることを目指す、できるだけ痛みのない治療方法を行っています。

その他良くある症状と対応

頭痛

風邪の時や、副鼻腔炎など感染症に伴う頭痛もありますが、頭痛のみが症状で受診される場合に一番多いのが片頭痛です。幼児期から片頭痛はみられ、大人に比べ持続時間も短く、程度も軽いものが多いですが、嘔吐や腹痛を伴う場合もあり、問診や家族歴から診断します。高学年や思春期になるとストレスや近年はスマホやタブレットの使いすぎによる筋緊張型頭痛が増加します。また起立性調節障害といった起床後の血圧の変動に自律神経が対応できない状態に頭痛を伴うこともあります。いずれのタイプの頭痛も睡眠不足が誘因になることも多く、早寝早起き、適度な運動を取り入れた生活スタイルの見直しが大切です。必要な時にはお薬を適度に使用しながら、頭痛の誘因を除き、日常生活のリズムを整えていきます。気になる頭痛(めまい、ふらつき、手足のしびれ、目の異常などを伴う、進行性など)があり、画像検査などが必要と判断した場合は、すみやかに検査治療の可能な病院へご紹介いたします。

腹痛

小児の腹痛で一番多い原因は便秘です。便が普段からコロコロと丸いお子さんは毎日出ているようでも、便秘には注意が必要です。便秘の薬は数種類ありますが、お子さんの年齢と便秘の状態にあった薬を組み合わて、治療を行っています。胃腸風邪や普通の風邪の時にも腹痛はありますが、いずれも対症薬と食事を工夫しながら回復を待ちます。すぐに根本的な治療が必要な緊急性のある腹痛には、腸重積、虫垂炎、イレウス、精巣捻転といった病気があります。急に発症した腹痛で程度が強い場合は、緊急性のある腹痛の場合もありますので、お電話で直接受診をご相談ください。その他にもストレスや不安、日常生活の乱れでも腹痛が続くこともあり、過敏性腸症候群、呑気症などが当てはまります。いずれもお腹だけではなく、お子さんの全身の様子からも判断し、ご不安なく帰宅いただけるように診察いたします。

夜尿

排尿に関わる生理機能が完成するのは5-6歳頃ですが、5歳以降に少なくとも月に1回以上のおねしょがある場合を夜尿症といいます。夜尿は5歳児で10~15%にみられ、10歳児でも7%ほどにみられます。原因は複雑で生理機能が未熟な場合、体質、心理的要因、環境要因などが影響しています。当院では環境要因に関わる生活指導を行っています。未就学でも昼間に尿や便のおもらしがある、小学校に入っても夜尿が続く場合には、一度ご相談ください。