小児期に発症するアレルギーは、赤ちゃんのころは食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、幼児期になると気管支喘息、アレルギー性鼻炎(花粉症)があります。アレルギーを起こしやすい体質を持ったお子さんが、これらのアレルギーに順番にかかっていくことをアレルギー・マーチといい、一連の流れとしての診療が大切とされています。
「これってアレルギーなの?」というご質問も多く見分けも難しいのですが、経過をみることで診断できる場合も多いので、ご心配な時はぜひご相談ください。

食物アレルギー

アレルギー

特定の食物を摂取することによって皮膚のかゆみ、じんましん、咳やゼイゼイ、腹痛、嘔吐などの症状を引き起こす状態です。乳児期には卵、乳製品、小麦に反応することが多く、1歳からは魚や魚卵、2.3歳からはソバ、4~6歳では落花生、カニ、エビなどに反応するお子さんが増えます。血液検査も診断に役立ちますが、結果が陽性になったからと言って、必ずしも食事制限が必要なほどの症状がでるとは限りません。逆に陰性でも症状がでる場合もあります。卵、乳、小麦、大豆へのアレルギーは3歳までに5割、小学校に入るまでに8割前後が治る(耐性獲得)とされています。除去を続けるだけではなく、定期的に血液検査や診察を行うことで、摂取開始のタイミングを計ることができます。軽い症状のアレルギーであれば、外来で食事指導をしながら解除を進めていきますが、重い症状がでる方やアレルギーが数種類に及ぶ場合は、アレルギー専門外来にご紹介させていただきます。

気管支喘息

2歳ぐらいまでのお子さんはもともと気管や気管支が細く、風邪が引き金になって喘息のように「ゼイゼイ」がでることも良くあるため、風邪と喘息の区別は簡単ではありません。ゼイゼイを繰り返していて(3回以上)、気管支拡張薬で症状が改善し、喘息の薬の効果がある5歳以下のお子さんを乳幼児喘息と診断します。小児の喘息は6歳までに約80%が発症します。喘息をきちんと治療するためには早い時期に正しい診断に基づいた治療を始めることが大切です。発作を鎮める治療、悪化原因となる環境の整備、発作を予防する治療があり、ご家族に喘息という治療をよく知っていただくことも大切ですので、丁寧な説明を心がけています。

アレルギー性鼻炎

保育園に通いたてのお子さんの鼻水はほとんどが風邪によるものですが、ある程度集団生活を経験した後でも透明な鼻水が止まらない、鼻がつまる、鼻血をよく出す、くしゃみが多いなどの症状があればアレルギー性鼻炎を疑います。近年はアレルギー性鼻炎の低年齢化が進んでおり、2歳前からでも花粉症、ダニアレルギーがみられることもありますので、気になる様子があればご相談ください。

アレルギーとスキンケア

最近、長年の研究によって、肌のバリア機能が低下することで食物アレルギーが起こることが分かってきました。荒れた肌から入ってきたアレルゲン(食べ物の成分、ダニ、ホコリ、動物の毛)は体内で危険なものとみなされ、排除するために抗体が作られます。抗体がある状態でその食べ物を食べるとアレルギー反応が起こります。これが食物アレルギーの症状です。赤ちゃんの肌は大人の半分の厚さであり、バリア機能も未熟です。毎日丁寧に優しく洗った後に、スキンケアとして保湿剤を使用してバリア機能を保ち、食物アレルギーの発症を予防しましょう。当院では積極的にスキンケアの指導を行っていますのでご相談ください。